●デジタル技術が社会や当社の競争環境に与える影響について

インディーゲーム市場は年率14.6%で成長し、市場規模は約7,000億円と拡大していますが、同時に大手資本による高品質なゲームとの競争が激化しています。特に、プレイヤーは独創的なストーリー性に加え、高品質な音響体験や深い没入感を求める傾向が強まっています。従来の2Dサウンド技術のみでは、大手企業が提供するリッチな音響環境に対し、競争劣位に陥るリスクがあります。デジタル技術、特に最新の3Dオーディオ技術や、AIを活用した効率的な開発手法は、この競争環境を打破するために不可欠です。当社は、高度なグラフィックとストーリー性をコアとしつつ、これにデジタル技術を掛け合わせることで、高品質な没入感と迅速な開発体制を両立し、市場優位性を確立できると認識しています。

 

●経営ビジョン

当社の経営ビジョンは、最新技術とデータ分析で、世界中のプレイヤーを夢中にさせる、没入感あふれるゲーム体験を創造することです。核となるSFジュブナイルRPG『星のハルカ』の開発を成功させ、独自のアートスタイルと没入感の高いゲーム体験を当社のブランドとして確立します。このビジョンを実現するため、デジタル技術を活用して、ユーザーの感動を最大化するオーディオ環境を導入するとともに、前作の成功で培ったデータ分析力を開発プロセス全体に適用します。これにより、インディーながらも世界に通用する高品質な作品を継続的に創出し、グローバル市場での存在感を高めることに貢献します。

 

●経営及びデジタル技術等の活用の具体的な方策(戦略)

経営ビジョン実現に向けた戦略の方向性は、没入感を生む技術の獲得と開発効率の最大化を核とします。具体的な方策として、現在開発中の『星のハルカ』に、最新のオーディオ技術を導入し、没入感を競争優位性の源泉とします。また、前作の売上データや、米国での事前予約率25%という市場反応データ、および外部の市場分析データを統合的に活用するデータドリブンな意思決定プロセスを確立します。これにより、企画、レベルデザイン、マーケティングの各段階で、顧客ニーズに基づいた最適な判断を迅速に行います。さらに、外部専門家との連携を強化するため、クラウドベースの共同開発環境を整備し、コンシューマー対応まで一貫した高品質な開発体制の効率化を加速させます。

 

●戦略を効果的に進めるための体制

代表の​斉藤 敦士がCIOを兼務し、デジタル技術戦略の全社的な統括と推進を主導します。組織体制としては、オーディオ技術やデータ分析に知見を持つ外部専門家との連携窓口を明確化し、技術陣への知識・ノウハウの展開を徹底します。人材育成については、オーディオ技術に関する専門研修を技術陣に実施するとともに、全従業員を対象に、市場データや顧客ニーズを正確に把握するためのデータ分析リテラシー研修を実施します。これにより、全社的にデジタル技術の理解を深め、高品質なゲーム開発を推進するDX人材の育成を最優先で実行します。

 

●DX戦略推進の環境整備

高度なグラフィック制作技術と、新たに導入するデジタル技術を最大限に活用するための開発環境整備を最優先します。具体的には、オーディオ技術に対応した開発ツールと検証環境を整備するとともに、企画からコンシューマー対応までを支えるクラウドベースのプロジェクト管理・バージョン管理システムを強化します。また、市場分析データや顧客ニーズ把握力を開発プロセスに迅速に反映させるため、セキュアなデータ集約・共有プラットフォームを構築します。これにより、小規模ながらも大手に匹敵する高品質な作品を生み出すための、機動的で効率的な開発基盤を確立します。

 

●戦略の達成状況に係る指標

DX戦略の達成度を測る指標として、中核事業である『星のハルカ』の発売初年度における売上目標達成率を最重要指標とします。これにより、技術とデータ活用の成果を測定します。また、具体的なDX効果を測る指標として、開発プロセスの平均リードタイム短縮率と、ゲーム内におけるオーディオ機能のユーザー利用率をKPIと設定します。最終的には、海外市場でのユーザー評価スコアを追跡することで、グローバルな競争力の獲得度合いを測ります。

 

●DXを牽引するトップメッセージ

私たちのDX戦略は、インディーゲーム開発における新たな可能性を切り拓く挑戦です。コアとなるAIとデータ分析能力を飛躍的に向上させ、最新のオーディオ技術を融合させることで、小規模ながらも大作に匹敵する、魂を揺さぶる没入体験を生み出します。このデジタル変革を通じて、私たちは『星のハルカ』を世界に届け、日本のインディーゲーム産業のプレゼンス向上という壮大な目標に向かって邁進します。

 

代表取締役 ​斉藤 敦士